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壁紙を選ぶのは難しい~1 [建材・素材など]

建物の設計をする順番としては、
まず、必要な部屋を平面図に表現して、
お客様との打ち合わせを重ねて、
何回も何回も修正を繰り返して、
双方が納得できる建物に近づけます。

双方が平面(間取り)に納得できたら、
外観、つまり立面図を作図します。

どのような空間になるかは、
平面図を作図している時にも頭の中にイメージがあります。
もちろん、インテリアに関しても。
でも、予算には限度があるのが世の常。

構造の部分は削れないから、
基礎、骨組み(柱・梁など)、外壁と屋根に関しては、
少なくても50年は問題が少ない仕様にします。
(適切なメンテナンスは必要です)

ということで、竣工後でも構造に比べれば変更しやすい仕上げ、
特に壁の仕上げに関しては、
壁紙仕上げに落ち着くことが多いです…。(※1)

というのは、壁紙を張る技術は塗装に比べれば習得しやすいから、
職人さんが多くて、つまり、[材工共]の費用が安い。

でも、ビニールクロスだけは避けたい!
というよりも、絶対に使いたくないっ!
ということで、落ち着くのがオレフィン系の壁紙です。

オレフィン系の壁紙には、
ビニールクロスにもれなく入っている可塑剤、
つまり【フタル酸エステル】などが入っていません。

塩化ビニールは可塑剤が入っているから、(※1)
独特のツンとしたニオイがします。
折り曲げたら「ぐにゃり」という感じで元に戻ります。

オレフィン系は、
プラスティック独特のニオイが少ししますが、
塩化ビニールに比べればニオイは少ないです。
折り曲げたら「ぱたんっ」という感じで元に戻ります。
だから、施工が難しくて職人さんが嫌がることがあるのも事実。

一時期は、TVOC(揮発性化学物質の総量)を考慮して、
オレフィン系の建材が増えたのですが、
最近は「リサイクルの優等生」という表現で、
塩化ビニールを使った建材が増えているのが現実です。
それにTVOCを気にしない設計者が多いらしいです。

しかし可塑剤が含まれていないという点では、
塩ビクロスより安心なオレフィン系壁紙でも、
「防カビ剤」が練りこまれている製品が多いです。

先日、改修工事の監理中に、
指定したオレフィン系壁紙に、
「防カビ剤」が入っていることに気付き、
メーカーの営業さんと打ち合わせを重ね、
調査に協力していただいた結果、
「防カビ剤」不使用のオレフィン系壁紙が見つかりました。

お客様にはお子様がいらっしゃるので、
より安全な建材を使用したいという御意向がありましたが、
お客様にサンプル帳を提示した際、
私が咳きこみながら説明をしたのも、
壁紙の違いを考えるきっかけになったかもしれません。

壁紙の型番をお客様に選んでいただきましたが、
結局「防カビ剤」不使用のオレフィン系壁紙が採用されました。
もちろん、壁紙用糊も添加物が少ない製品を選びました。

「防カビ剤」が入っている方が単価が安いということは、
なんとも困ったことではありましたが、
理解ある施工者の協力で、
なんとか契約工事費内でまとまったのは感謝です。

※1
本当は、無垢の木、しっくい、塗装などにしたいです。

※2
小学生の頃、お誕生日に「かわいい文房具」を、
プレゼント交換することが多かったのですが、
その当時「やわらかい下敷き」が流行り、
複数のお友達からプレゼントとして受け取ったら、
高熱を出して寝込んだことがあります。

今思えば、当時は規制が無かった【フタル酸エステル】が原因かと。
小学校の校舎増築中に、リウマチ熱が発症し、
それとは別の原因で喘息に…。
これはきっと、化学物質過敏症。


初出:2013-10-27

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